コンテンツ産業戦略2026

2026年2月12日
PopPowerProject政策会議

 日本発のコンテンツは極めて高い創造性と独自性を持ち、世界から高い評価を受けている。そして、これを生み出す産業には潜在的な競争力がある。一方で、支援措置、人材育成、起業支援、AI活用、海賊版などの課題に対し政策・対応が分散し、ジャンルを横断した産業全体としての戦略性が十分に発揮されていない。
 本提言は、政府および民間が連動し、日本のコンテンツ産業を成長する基幹産業として再設計することを目的とする。

1. 支援措置の拡充

 日本のコンテンツに対する公的支援を国際的な水準に引き上げ、グローバル市場を前提としたIP展開を加速させることで、海外市場を3倍増の20兆円に拡大する政府目標を早期達成する。
 関連予算の1,000億円規模への拡充、制作促進税制等による支援体系を構築する。
 特に、海外展開・ローカライズ、地域・拠点整備、DX・AI活用、メタデータ・アーカイブ整備、人材育成・起業支援等を、制作現場のスピード感に対応した簡素な手続で横断的に支援する。
 また、海外市場データの把握を通じた戦略立案の高度化や、制作・発信・交流を担う象徴的拠点の整備を支援措置の中に位置づける。レコード演奏・伝達権を創設するべく、著作権法の改正を行う。

2. 人材育成の拡張

 コンテンツ制作人材を育成する教育を拡充するとともに、産学連携を通じて、国際的なマネジメント・プロデュース人材を育成するビジネススクールなど高度教育プログラムを整備する。
 あわせて、コンテンツに関する入門的な認定制度や世界市場を見据えたポップカルチャー検定を創設し、権利・契約等の基礎知識を含む知識の体系化と国際的理解の促進を図る。
 さらに、労働環境改善の観点も踏まえ、人材が持続的に育成・定着する産業基盤の形成を目指す。

3. スタートアップの支援

 成功までに時間を要し、成果の不確実性が高いなど、他の産業とは評価指標も異なるコンテンツ分野に適した起業支援策が求められる。
 エンタメ特化型の評価・マッチング機能を整備し、専門家による選定や表彰を通じて資金と注目が循環する仕組みを構築する。制作・実証・発信を担う拠点を整備し、海外展開を視野に入れた短期的成果に依存しない支援モデルを確立する。

4. AI活用の促進

 生成AIを手なづけ制作の競争力を高める攻めの対策と、不正利用や権利侵害から身を守る措置を同時に遂行し、イノベーションと権利保護の両立を図る。
 AIの導入を支援するとともに、集団的にAI事業者との対話・交渉や法的対応を行う体制を整える。AIによる権利侵害の自動検出・摘発など技術の開発・実装を支援する。ユーザーのAI利用を円滑化するガイドラインやリテラシー向上施策も整える。

5. 海外展開の戦略的推進

 文化庁・外務省による文化交流事業をコンテンツ産業政策の文脈に再定義し、文化交流と産業戦略を連動させて、中国を含む諸外国との関係強化を図る。
 官民による文化交流や国際イベントへの戦略的展開を継続的に実施・支援する。大臣級会合やJETROの枠組みと連動させ、新興国・グローバルサウスも含めた国際イベントや表彰制度を活用する。

6. 海賊版対策の強化

 政府の海賊版総合対策を強化する。
 特に、CODAの権能を法的に明確化し、分野別の実態を踏まえた機動的で強力な執行体制を整える。政府は海外当局との連携を強化し、迅速な削除・摘発・処分を可能にする実務体制を整備する。

7. 司令塔機能の実装

 「文化省」設立を目指す。コンテンツ文化産業政策を統括する司令塔機能を整備する。
 並行して、民間側に業界横断の中核的連携組織を整備し、ジャンル横断で官民が連動して政策立案・実行・評価を行う体制を構築する。その一環として、コンテンツ振興法の強化を含む制度基盤の見直しを検討し、継続的な政策実行を担保する。

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